
愛犬との外出に欠かせない「水入れ」の選び方と給水の必要性
お出かけ中、水を飲んでくれず、心配になった経験はありませんか?
愛犬が水を飲まない背景には、季節による好みの変化や器の素材、さらには外での緊張など、さまざまな理由が隠れています。
水分不足は、熱中症だけでなく帰宅後の「がぶ飲み」による重篤な病気の発症を招く恐れもあるため、先回りのケアが重要です。
本記事では、季節別の対策や器選び、水を飲まない子への工夫など、愛犬の健康を守る給水テクニックを解説します。

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吉田 未夢
岡山理科大学卒業後、ドッグスクールにて犬の訓練士(ドッグトレーナー)として活動。犬の行動と心理を深く理解し、問題行動の改善やしつけ指導を通じて、飼い主と愛犬がより良い関係を築けるよう努めている。これまでの経験を活かし、犬の一生に寄り添いながら、飼い主が安心して笑顔で過ごせるサポートを行っている。
外出時の水分補給が重要な理由

「短時間の散歩だから大丈夫」という油断は禁物です。
犬は人間よりもはるかに地面に近く、アスファルトの照り返しや放射熱の影響をダイレクトに受けます。人間が「少し暖かい」と感じる日でも、犬にとっては熱中症や脱水症状のリスクがある過酷な環境になり得るのです。
言葉で不調を訴えられない愛犬のために、飼い主さんが先回りして水分補給を管理してあげましょう。
熱中症の予防
犬が水分を必要とする最大の理由は、体温調節の仕組みにあります。人間のように全身から汗をかいて熱を逃がすことができない犬は、口を大きく開けて「ハアハア」と激しく呼吸する「パンティング」によって体温を下げようとします。
パンティングは、舌や口腔内の粘膜から水分を蒸発させ、その際に発生する気化熱を利用して体内の熱を奪う仕組みです。また、血管が集中している舌に外気を当てることで、体内を巡る血液そのものを冷やす役割も果たしています。
しかし、この体温調節は、体内に十分な水分があることが大前提です。水分が不足すると、パンティングによる蒸発がうまくいかなくなり、体温調節機能がストップしてしまいます。
その結果、体内に熱がこもり続け、命に関わる熱中症へと進行してしまうのです。
脱水症状の回避
脱水症状は夏の暑い時期に限った問題ではありません。空気が乾燥する冬場はもちろん、慣れない環境でのストレスや持病の影響など、一年中いつでも起こる可能性があります。
特に注意が必要なのは、喉の渇きを感じる感覚が鈍くなってくる老犬です。シニア期に入ると、水を飲むこと自体がおっくうになり、お出かけ前に十分な水分を摂っていないケースも珍しくありません。
お散歩の途中に「お水休憩」を取り入れ、こまめに飲む習慣をつけておくことは、老犬の飲水習慣を維持し、深刻な脱水状態に陥るのを防ぐための大切なトレーニングにもなります。
胃捻転の防止
お散歩から帰宅した直後、愛犬がボウル一杯の水を「がぶ飲み」する光景をよく目にすることはありませんか?
そのがぶ飲みこそが、最も警戒すべき「胃捻転(胃拡張捻転症候群)」のリスクを高めます。胃捻転とは、水やフードなどが原因で膨らんだ胃がねじれてしまう病気で、発症からわずか数時間で手遅れになることもある、非常に恐ろしいものです。
帰宅後の激しいがぶ飲みは、お散歩中に水分が足りていなかったというサインです。これを防ぐためには、一度に大量に飲ませるのではなく、外出中に少量ずつ、回数を分けて水分を与え続けることが重要です。
お散歩の合間にこまめに喉を潤してあげることで、帰宅後の急激な飲水を抑え、結果として愛犬を突然の重病から守ることにつながります。
季節別の水分補給で気をつけるべきポイント

愛犬の健康を守るために、季節に合わせた「水の飲ませ方」を工夫してみましょう。
春・秋
過ごしやすい季節ですが、実は水分補給が重要な時期です。この時期は「換毛期」にあたるため、新しい毛を作るために代謝が上がるため、愛犬は意外と多くの水分を必要とします。
また、日ごとの寒暖差が激しく、急に暑くなった日には水分不足から熱中症のような症状を引き起こすこともあります。「涼しいから大丈夫」と油断せず、いつでも新鮮な水が飲める環境を整えておきましょう。
夏
1年で最も水分補給が重要な季節です。犬は効率よく体温を下げるため、冷たい水を好むようになります。外出時は保冷ボトルを活用したり、飲み水に氷を数個入れたりして、冷たさをキープするのが効果的です。
ただし、冷えすぎた水を一度に大量に飲むと胃腸に負担がかかるため、「15〜20分おきに少量をこまめに飲ませる」ことを意識して、愛犬の健康を守りましょう。
冬
冬は寒さから喉の渇きを感じにくく、水を飲むことが減ります。しかし、暖房の効いた室内や乾燥した外気によって、体内の水分は失われています。
冷たい水を嫌がって飲水量が落ちる場合は、30〜35℃程度のぬるま湯を与えてみてください。ぬるま湯は内臓を温めることができるため、特にシニア犬や寒がりの子にはおすすめです。
タイプ別の水入れの選び方
お出かけ用の水入れは、飼い主さんの使いやすさと、愛犬の好みに合わせて選ぶことが大切です。以下の2つのタイプについて、それぞれの特徴を見ていきましょう。
給水ボトル型(シャワー・皿一体型)

給水ボトル型は、片手でスムーズに操作できるものが多く、リードを持ちながらでもサッと給水できるのが最大のメリットです。飲み残した水をボトルに戻せるタイプを選べば、貴重な水を無駄にせず、長時間の外出でも水不足の心配を減らせます。
さらに、おしっこ後の洗浄用として「マナーボトル」の役割も兼ねられるため、荷物を最小限に抑えてスマートにお散歩を楽しみたい方に最適です。
折りたたみ皿

ボトル直飲みを怖がる愛犬には、「折りたたみ皿」がおすすめです。折りたたみ皿は、器の種類も豊富で、お家の器と同じ感覚で飲めるので、慎重な性格の愛犬でも安心して水を飲めます。
高機能なペット専用の給水ボトルは高価なものも多いですが、市販の保冷・保温機能付きボトルとお皿をセットで持ち歩けば、コストを抑えつつ愛犬にぴったりの温度の水をあげることができます。
なかなか水を飲んでくれない時の工夫
「外では緊張して飲まない」「器が変わると嫌がる」という子には、以下の工夫を試してみてください。
器の「素材」を見直す

犬は神経質な生き物です。普段と違う器だと警戒してしまうこともあります。また、嗅覚が非常に鋭いため、プラスチックやシリコン製品特有の「素材の匂い」を気にして飲まないことがあります。
なかなか飲まない時は、無機質なステンレス製や、お家で使い慣れている質感に近い陶器製の器に交換して、反応を見てあげましょう。
「流れる水」を演出する
静止した水よりも、動きがある水に興味を示す子がいます。ボトルの口から少しずつ垂らして見せたり、指で水面を動かして「新鮮さ」をアピールしたりしてみましょう。
特に好奇心旺盛な子なら、水遊びの要素を取り入れるのも一つの手です。水滴を飛ばしてキャッチさせたり、楽しみながら水に触れさせたりすることで、飲水への心理的ハードルが下がり、自然と水分補給につなげることができます。
フレーバーを足す
どうしても飲まない場合は、犬用ミルクや、ささみの茹で汁、あるいはカツオ節で取った出汁(塩分を含まないもの)を数滴混ぜます。香りが立つことで、飲水意欲を劇的に高めることができます。
ただし、混ぜ物が入った水は傷みやすいのが欠点です。夏場や長時間のお出かけでは、保冷バッグを活用して冷たさをキープし、常に新鮮な状態で飲ませてあげられるよう心がけてくださいね。
食事に水分を混ぜる
フレーバー付きの水でも飲んでくれない場合は、食事の内容を工夫してみましょう。お出かけ前のご飯を「たっぷりの水でふやかしたドライフード」にしたり、外出時のおやつを「ウェットフード」に変えたりするだけでも、立派な水分補給になります。
飲まない子に対して無理に飲ませようとすると、かえって水への恐怖心を強めてしまう可能性があります。食事と一緒に水分を摂る習慣があれば、お出かけ中に無理に飲ませようとしなくても大丈夫です。愛犬のペースを大切に、しっかり水分を蓄えておきましょう。
PALOPAの折りたたみ皿:Dog Bowl To Go(ドッグボウル・トゥー・ゴー)

Dog Bowl To Goは、ジッパーで簡単に開閉できる折りたたみ式で、カラビナを含めてもわずか12gと驚くほど軽量です。
外側には汚れに強い撥水素材、内側には水やフードを入れたまま閉じられる防水設計を採用しており、お散歩中のこまめな給水もスマートに行えます。
まとめ
お出かけ中の水分補給は、熱中症や脱水症状、さらには命に関わる「胃捻転」を防ぐために欠かせません。季節に合わせた温度調節や、愛犬の好みに合った器選びなど、飼い主さんが先回りして工夫することで、水分不足のリスクを大幅に減らすことができます。
「少しずつ、こまめに」飲む習慣を大切にしながら、愛犬の健康と笑顔を守る楽しいお出かけを叶えましょう。

